副業すると確定申告が必要?押さえておきたい基礎知識と申告の方法

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副業すると確定申告が必要?押さえておきたい基礎知識と申告の方法

確定申告

私たちが何らかの労働で収入を得た場合、収入に対して税金が課せられるのは周知の事実ですが、本業だけではなく副業に対しても所得税がかかってくることがあります。
その税額は収入の金額などによってかなり異なってきますが、中には自分で確定申告を行わなければならないケースもあります。
ここではどんな副業で、いくらぐらいの所得があると、確定申告をしなければならないのかについて具体的に見ていきましょう。上手に申告をするかしないかで納める税金にも数万円〜数十万円の差が出てしまいます。

副業とは

●法律上、明確な定義はない
よく、複数の職業をしている人は「本業」と「副業」といった呼び方で仕事を分けていますが、法的には副業に関する明確な定義というものはありません。社員が副業に就くのを禁止している会社は数多くありますが、株式投資で利益を上げてもこれを副業とは見なさずに容認する企業もあるなど、その境界線にはあいまいなものがあります。
企業が副業を禁止する理由は「社員が他の仕事に従事して会社の評判にかかわる」「副業に時間を奪われて本業がおろそかになる」といったものですが、本業に差し支えのない時間帯に副業に勤しむのであれば特にうるさいことは言わないという企業も多いようです。

●本業以外で収入を得るための仕事
本業がサラリーマンで土日や夜の時間が空いているときに副業をするという場合には副業の内容がかなり限られてきます。会社勤務に支障の出ない副業で代表的なものとしては株式投資が挙げられます。体力的に消耗するわけではありませんし、自宅や外出先でパソコンやスマホを操作するだけでできますから本業への影響が比較的少ないといえます。
この他にブログを作成して商品やサービスの紹介を行い、収入を得るアフィリエイトなども片手間にできる副業の一つです。

●所得の種類は10種類
所得というのは税制の観点から10種類に分類されています。会社の就業規則と照らし合わせてみて自分の行っている投資などが違反になっていないかどうかを確認するためにも、所得にはどんな種類があるのかを今一度確認しておきましょう。

1. 利子所得
公社債や銀行の預貯金の利子による所得です。

2. 配当所得
株式投資によって得られる配当金などがこれにあたります。

3. 不動産所得
マンションや土地、建物、店舗などを貸して得られる賃料のことです。

4. 事業所得
事業を運営することによって得られる所得のことで、物品を販売したりサービスを提供したりする際の売り上げなどが事業所得に含まれます。

5. 給与所得
サラリーマンが勤務先から受ける給料・賞与のことです。

6. 退職所得
勤務していた企業から支払われる退職金のことです。

7. 山林所得
山林を伐採して得られた木材や立木を売った場合に得られる所得のことですが、山林を5年以上所有していることが条件となります。

8. 譲渡所得
土地や家などの資産を譲渡して得られた所得のことです。

9. 一時所得
上記8つのいずれにも当てはまらない懸賞賞金などが一時所得です。

10. 雑所得
上記9つに当てはまらない所得、例えば印税などがこの雑所得に分類されます。

●働き方改革によってサラリーマンの副業が容認される流れ
ひと頃まではご法度とも言える扱いを受けてきた副業ですが、「働き方改革」が推奨されて以来サラリーマンのあり方もかなり変化してきました。安倍晋三首相が「働き方改革実現推進室」を設置したのは2016年9月のことですが、この動きによってこれまで隠れて副業を行っていたサラリーマンも堂々と複数の仕事に従事することができるようになりました。
こういった改革が行われるに至った背景には15〜64歳の生産年齢人口(15~64歳)の減少とそれに伴う労働力不足を解消する目的があります。

確定申告が必要な人は?

●確定申告とは
確定申告とは1年間の所得額と所得税及び復興特別所得税の額を計算し、源泉徴収や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続きです。

給与所得=年収-給与所得控除額
給与所得控除というのは必要経費を給与収入から引くことで減税対策を行うという仕組みです。給与所得控除額は年収によって額が変わってきますが、減税される上限は220万円(年収が1,000万円を超える場合)と定められています。
年収が1,000万円以下なら収入金額✕10%+120万円、660万円以下なら収入金額✕20%+54万円、360万円以下なら収入金額✕30%+18万円、そして180万円以下なら収入金額✕40%(ただし65万円に満たない場合には65万円)が控除額の基準です。

事業所得=売上(収入)-経費-特別控除
事業を営んでいる人は青色申告をすることで特別控除を受けることができます。特別控除は65万円と10万円の2タイプがありますが、複式帳簿を作成していてなおかつ法定申告期限内に申告を行わないと65万円の控除を受けることができません。

雑所得(アフィリエイトなど)=売上-経費
サラリーマンの中には週に数時間で運営できるブログアフィリエイトなどで副収入を得ている人もいると思いますが、ブログ運営のためにかかる経費、インターネット代、新しくパソコンを購入する費用などは経費として差し引きすることができますので領収証はすべて捨てずに保管し、帳簿もきちんと付けることが大切です。

サラリーマンが確定申告をしなくてもいい理由
サラリーマンは基本的に確定申告をしなくていいようになっています。これは勤務している企業が年末調整を行ってくれるためです。
サラリーマンというのは毎月の給料を受け取る時点で所得税が企業によって源泉徴収されています。国に納めるべき所得税を企業が代行して納めているといった感じです。ただし毎月天引きされている源泉徴収の額はアバウトなもので、毎年扶養者の数などを考慮して控除の額を厳密に計算しなければなりません。これが年末調整です。

副業による収入については、個人が申請する必要がある
サラリーマンは勤めている会社が所得税の計算や納付を代行してくれますが、中には自分で確定申告をしなければならないケースもあります。まず、年間の給与所得が2,000万円を超えている人、あるいは給与所得あるいは退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合には申告が必要です。
さらに源泉徴収義務のない団体や事業者から給与の支払いを受けている場合も自分で申告しなければなりません。

●個人で確定申告が必要な人と不要な人の見分け方
副業がアルバイト、パート
副業のアルバイトやパートの仕事が年間で20万円を超える人は確定申告を行わなければなりません。副収入が20万円超か20万円以下かで大きく違ってきます。

副業がアルバイト、パート以外
確定申告が義務というわけではないけれど、申告をしたほうが税金の還付がなされる可能性が高いケースもあります。例えばサラリーマンで副収入所得が20万円以下の人、しかも副収入が源泉徴収されている人などです。

確定申告のやり方

●白色申告と青色申告の違い
確定申告は毎年原則として2月16日から3月15日までの間に管轄の税務署で行いますが、確定申告には実は「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。それぞれにメリットとデメリットがありますので、自分の副業形態や所得額に見合ったほうを選ぶことが大切です。

白色申告
白色申告は個人事業を開始するにあたって税務署に申請書を提出する必要がありませんが、特別控除も適用されないため節税効果の点ではあまりメリットがありません。
以前は白色申告では青色申告のような綿密な帳簿を付ける義務はなかったのですが、平成24年の申告分から「帳簿への記帳」および「5〜7年間帳簿等の保存をすること」が義務づけられるようになりました。ですから手間の点から見ると青色申告とほとんど変わらなくなってしまったというのが現状です。

青色申告
青色申告は白色申告と比べると税制上のさまざまな恩恵を受けることができます。ですから、副業をやってしっかりと収入を増やしたいというのであれば白色申告ではなくて青色申告を選ぶようにしましょう。
毎日きちんと複式帳簿を付けておいた場合、青色申告では年間で65万円の控除を得ることができます。ただし申告の期間を過ぎてしまうとこの控除額が10万円に減ってしまいますから注意したいものです。
自宅を住居兼事務所として使用するような場合は家賃や電気代、電話料金、そしてインターネット代なども経費として計上することができます。この場合、電話料金などをすべて経費として計上するのではなく、副業で使用する分だけを合理的に計算する「家事按分(あんぶん)」という方法が使われます。
青色申告をする場合にはあらかじめ申請を行い、税務署の承認を得なければなりませんので、副業をやっている人、あるいはこれから始めようとしている人は早めに相談に行ってみることをおすすめします。

●確定申告の要書類
収支内訳書(白色申告)
収支内訳書には申告をする年の売上高と仕入れ値、そして人件費や交通費、通信費などを記入して所得金額を出します。

出典:国税庁ホームページ

青色申告決算書(青色申告)
青色申告決算書は4枚から構成されています。1枚目は年間の収入や経費を記載する「損益計算書」、2枚目と3枚目は「損益計算書の内訳」、4枚目は資産や負債の状況を記載する「貸借対照表」となっています。

出典:国税庁ホームページ

確定申告書
確定申告書にはAとBの2つの様式がありますが、このうちAはサラリーマンやパートで勤務している人が使用します。これに対してBのほうは個人事業主やフリーランスで働いている人のために用意されています。
収支内訳書・青色申告決算書・確定申請書は最寄りの税務署で配布している他、国税庁のHPからもダウンロードすることができます。

確定申告書A 確定申告書B

出典:国税庁ホームページ

添付書類(領収証など)
特に青色申告では経費にいくら使ったかを明示することが大切ですから、電気代や電話代、商売であれば仕入れに要した交通費などの諸経費などの領収証を添付することも忘れてはいけません。

●確定申告書類の書き方
申告書に関しては会計ソフトがいろいろと出ていますから、これらを使用すれば簡単に記入をすることができます。手書きのほうが楽という人は黒のボールペンを使用しますが、間違った場合は二本線で消して余白に正しい数値を書き込みます。
申告の対象となる期間は前年度の1月1日〜12月31日ですが、年の途中から開業した場合には中央の日付の欄に「自10月1日至12月31日」と書き込みます。また、左上の日付欄には記入日ではなく提出日を記入します。

尚、平成28年1月からマイナンバーの利用が開始されましたが、確定申告書にもこのマイナンバーを記入する欄があります。マイナンバーを持っていなければ絶対に確定申告ができないというわけではありませんが、ナンバーを記入しない場合には後日税務署から問い合わせが来る可能性もありますので、それが不安な人は最初から記入しておいたほうが無難です。

確定申告に関するQ&A

●確定申告をすると副業をしていることが会社に知られる?
住民税の金額から露見するケースが多い
副業には株式投資のように時間的な拘束をほとんど受けないものもあればアウトソーシングの在宅ライターのように週に10時間以上など長時間の労働を要するものまでさまざまな種類があります。働き方改革という政府のテコ入れがあって、最近では大手企業の中でも副業を認めるケースも出てきていますが、まだまだ社員の副業には難色を示す企業が一般的であることも確かです。
副業は黙ってさえいれば会社に知られずに済むと考えている人も多いかもしれませんが、実は住民税から露見してしまうことがあります。
住民税というのは本業の給与収入と税務署に提出された確定申告書の所得額を合計したものに課される税金です。確定申告に基づいて計算された住民税額は勤めている会社から天引きされるのが普通です。
年収が500万円の人の住民税は約20万円ですが、年収600万円になると住民税も約30万円に跳ね上がります。このため、給与と比較して住民税が高い社員がいると経理担当者に「給与以外の収入がある」ことがわかってしまいます。
ただし、給与以外の収入は必ずしも副業とは限りません。

●副業が赤字の場合にはどうする?
副業をしているけれど、経営が赤字ということも稀ではありません。しかし、インターネットショップを経営しているのであればサーバー代やパソコン周辺機器などはすべて経費として計上できますし、業務としての利用割合によっては住居の電気代や電話料金も経費として計上できる場合もあります。必要経費をもれなく申告することにより、会社からもらっている給与所得と赤字分を相殺して、住民税と所得税を減額することも可能です。

●申告しないとどうなる?
副業で収入を得ているのに意図的に申告を行わなかった場合、これは脱税行為と見なされますので注意したいものです。ついうっかりと確定申告の時期を逃してしまったというのであれば、できるだけ早く税務署に相談に行って指示を仰ぎましょう。

申告を期限までに行わなかった場合には「無申告加算税」の支払いを求められることがあります。これは納めなければならない税金に加えて無申告分の金額を罰則として払うというものです。ただし無申告に正当な理由がある場合、あるいは期限の後に申告を行って期日までに税額を納付すれば無申告加算税が課されません。

税金を少なく納めようと帳簿を大幅に改ざんした場合、あるいは虚偽の記載を行った場合には無申告加算税と共に延滞税と重加算税がプラスされます。加算税率はもともと払うべき税額の35〜40%とかなり高い率になります。加算税が払えないときは住居の差し押さえといった処分が取られることもあります。
さらに売り上げを隠蔽するなどの行為に対しては1,000万円以下の罰金あるいは10年以上の懲役が課されることがありますので十分に注意することが大切です。

確定申告には医療費控除などさまざまなメリットがある

「誰にも言わなければ副業の確定申告なんてしなくても大丈夫だろう」と思っていた人も、この記事を読んで少し見解が変わったのではないでしょうか。
確定申告というのは必ずしも「税金を余分に納めるためのデメリット」というわけではなく、上手に使いこなせば数十万円分の節税にもなる便利なシステムです。特に青色申告では家族にお給料を払い、それを経費として計上することもできますから、100万円近くの節税をすることも不可能ではありません。

さらに収支が赤字になった場合は赤字分を3年間繰り越して黒字の年の利益と相殺することができますから、長い目で見てもかなりお得です。
また、一定以上の医療費を納めた人は確定申告を行うことによって医療費控除を受けることができますから、副業を行っているサラリーマンにはおすすめです。医療費控除は会社の年末調整ではやってくれないので、どうしても自分で確定申告をしなければなりません。

例えば課税所得が500万円あって医療費が1年間に40万円かかった場合には医療費控除額40万円に課税所得50万円に対応する所得税率20%をかけて得られた金額8万円が所得税減税額となります。つまり、納めなければならない所得税が8万円安くなるというわけです。
住民税に関しても医療費控除額の10%が減税額になりますので、控除額が40万円ある人は申告することによって40万円✕10%=4万円も住民税が安くなります。

確定申告は慣れないうちは面倒に感じるかもしれませんが、ソフトを利用して副業の収支などを毎月細かに入力していけば申告の時期になってあわてることもありません。家計簿感覚で経費などが発生した都度、書き込んでいくと簡単です。